
信州は日本のスイスと言われている通り、菅平のスキー場はダボスと名乗っていた。スイスのアルプスの牧場を舞台に繰り広げられるハイジの番組は人気の番組だ。
戸隠の徳武さんのロッジに来るスイス人から直伝のフォンデュを広めて、チーズの需要を高めれば、高価なチーズも安心して売れると思いながら、子どもと一緒にアルプスの少女のアニメを見ていた。
長野放送にチーズを持ち込んで「チーズの紹介番組を作ってもらおう」と思いついた。お金を出さないで番組など作ってもらえないのは、覚悟の上だ。
大学を卒業して広告代理店に勤めた後輩が二人いて、チーズトーストやピッツァをしょっちゅう食べに来ていた。彼らにこの計画を話したら、駄目もとと念を押されたが、当時の制作部長の北嶋さんを紹介された。
当たって砕けろとNBS長野放送の玄関先に、仕入れたばかりの桶に入ったチーズを車に載せて会いに行った。
思っていた通り、チーズを解ってくれそうもない。難しい顔をした、あまり喋ってくれない、怖そうな人だった。しばらく無言の時間が経って、また連絡すると言われた。幾日か経って後輩から連絡が入った。資料を持って局に来るようにとのこと。
そこでNBSの自主番組である「おふくろの味、妻の味」でチーズの紹介番組を作る、増田昌子先生とチェスコの松平博雄社長が出演することが決まった。

お金は一銭も使わないで、25分間のチーズ紹介番組がオンエアされた。松平社長は、地方のテレビ局の番組でナチュラルチーズが初めて紹介されたと、うれしそうに話してくれた。広告代理店のもう一人は、企画書やコピー、シナリオが得意だった。
北嶋さんご夫婦は、松本からトラットリア・ジョイアへお食事にお越しいただいている。




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