ウエイトレスはカレーの脇にガラスの容器を静かに置いた。その容器は三つに仕切られていて、「らっきょ」と「ピクルス」はすぐに分かった、三つ目のくぎりには色といい、形といい見慣れないものが入っている。5mm角にきれいにカットされているオレンジ色の物は、チーズだった。チーズを食べてみるとチェダーチーズであることが分かった。ガラスの器に入っていた「らっきょ」も「ピクルルス」も「チェダーチーズ」もすべてきれいに食べてしまった。高いカレーにびっくりしたがレストランを出るときはチーズに出会えて満足した。
上田にカレーがおいしいと評判でにぎわっていた「ベンガル」という名前のお店が海野町の狭い小路にあった。料理人のオーナーに会って福神漬のカレーを食べながら、インドのカレー、イギリスの植民地、支配するイギリスの高官、彼らは本国からチーズを持ち込んだ。現地の辛いカレーを食べるとき、クリーミーな甘いチェダーチーズと一緒に食べておいしさを知ったに違いない。さすが東京のホテルの料理人は、勉強している。などと想像の世界の話をしていた。間違っていないことは「東京のホテルのレストランで1000円のカレーライス」を食べてきたことと「チーズが添えられていた」ことだ。はじめは気難しいオーナーでなかなか会ってもらえなかったが、チーズの話から快く迎えていただいた。勿論チェダーチーズは買ってもらった。
ジョイアの賄いにカレーライスが出てきた。「らっきょ」が添えられている。チーズを付け合わせるならばどんなチーズを選ぶか質問した。ゴーダチーズの名前は挙がったが、イギリスのチェダーチーズの声はなかった。得意げに、また「ベンガル」さんで話した想像の物語が始まった。スタッフの一人は、小さいころからカレーを食べるときには、ごはんを盛ってチーズをたっぷり乗せてカレーをかけて、チーズがトロケルころ合いを待って食べていたと話してくれた。賄いをスタッフと食べながらチーズ談義に花が咲く。




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