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ご飯とブルーチーズ

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日本でバターが普及するのに50年、さてチーズが普及するのに何年かかるか・・とチェスコの松平社長が語った言葉が印象に残っている。敗戦後立川の駐在所に故郷の小学校に上がる前まで住んでいた。時折、訪ねてくる進駐軍の米兵から、ガム、ピーナツバターやプロセスチーズの貰いものがあった。おいしかったのはピーナツバターだった。バタ臭い物には慣れていたのだろう。中学生頃よく食べたのに、アツアツのご飯が盛られた茶碗にバターの固まりを入れてしばらく待った。バターが溶け切っていないのを見ながら箸でかき混ぜて、おしょう油を少したらして荒くかき混ぜる、ごはんと一緒に口に放り込む。バターの小さな固まりから、ミルクの香りが鼻に抜ける、この快感が病みつきになっていた。学生時代もよく食べた。

チーズの仕事をはじめて10年が経った。白馬の農協でも業務用向けにチーズの需要が高まり、冬のスキーシーズン前の10月を迎えると、注文を取ることを目的とした展示会が開催された。出店してナチュラルチーズをブースいっぱいに並べて、白馬のホテルや民宿、ペンション、流行りのディスコで働くコックさんを相手にチーズを紹介した。一日限りの展示会で大勢のお客様を迎えた。昼食を食べる時間もない。朝早くから決められた場所のテーブルに陳列を始めているので、お腹はペコペコだ。カマンベールを食べながらお客様の注文をいただく。幸いに農協さんの主催なので弁当が配布されてきたがおかずのパックが回ってこない。しばらく待ったが届かないので、ふとバターライスが思い浮かんだ。しょう油が手元にない、勿論他のブースに行けばすぐに手に入ることは分かっていたが離れる気になれない。

バターの代わりにデンマークのブルーチーズをまだ温かい弁当のご飯に加えてみた。ちょうどバターライスを食べるときのようにやってみた。しばらくおいてかき混ぜるとまだ暖かかったご飯にブルーチーズが溶け始めていた。シメタと思い、かき混ぜて口にした。ミルクの香りに代わって青カビの湿った香りだ、舌にはピリッと来るがご飯の甘みが加わりやさしいなっている。ブルーチーズの塩加減はご飯と交じりおしょう油の代りをしている。熱いうちにと次々にブルーチーズを加えて昼食の弁当は食べ終わった。

大発見をしたと感激にしたった。それから数日後NHKの「今日の料理」で東京のホテルのシェフがイタリア料理のゴルゴンゾーラのリゾットの作り方を放送しているのを見た。司会者は青カビチーズとお米の組み合わせに新しいおいしさを発見した。と語っていた。白馬での展示会で作って食べた、青カビとお米の組み合わせはすでにイタリア料理にあることを知った。今青カビチーズの種類は豊富だ、いろいろな青カビチーズとアツアツご飯の相性を探る楽しみが増えた。

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